ピストンヘッド を含む、ORGA WIDEBOREシリンダー トレポン用の設計を解説する記事だ。2018年6月の公開時点の内容で、各パーツの設計意図を整理する。
この記事の要点
- 全てのパーツを、内径の広い管に合わせて、0から設計している
- 耐久性が必要なパーツは、国内加工のステンレス材を使う
- ノズルは、立ち上がりを0.2mm長くして、Oリングへの刺さりを深くした
- シリンダーは、管と内部パーツの2ピース構造で、部分交換ができる
- ピストンヘッドは専用設計で、管壁とのクリアランスを詰めている
上の写真は、ステンレス製のシリンダーヘッドとノズルだ。そのため、WIDEBOREの主要なパーツが、一目で分かる。
WIDEBOREシリンダーのパーツ設計と素材
ORGA WIDEBOREシリンダー トレポン用を構成する全てのパーツは、トレポン用 WIDE BORE(ボアップ)シリンダーが遂に登場!ページでも解説している通り、全てのパーツを0から作っています。
つまり、内径の広い管に合わせて、パーツごとに規格を決めている。そのため、管と各パーツの組み合わせは、専用の設計になっている。
シリンダー管の話にもある通り、従来のシリンダーよりも内径が広い管を利用していますので、殆どのパーツの設計は「その管」に合わせた規格で生産してあります。
ネジ部分があったり、衝撃がある部分など「耐久性が重視される」パーツに関しては全てステンレス材を利用し加工自体も日本国内でやっています。特にネジピッチは精巧に出来ており、海外で加工した物より格段にネジ同士の噛合が良く、頑丈に仕上がっています。
ネジ部分の噛み合わせが良く、頑丈に仕上がる。ただし、組み立ての際は、ネジを斜めに入れないよう注意したい。
上の写真は、ステンレス製のパーツ類だ。ネジ部分を備えたパーツが、並んでいる。
ノズルの設計変更と0.2mmの立ち上がり
シリンダーヘッドに付属するノズルも設計を見直してあります。
一般的なノズル(ノズル胴:B)の立ち上がりの長さを従来の物より0.2mm長くしてあり、この事で WIDEBORE用のノズルは、チャンバーにセットした際に他社のノズルより0.2mm後退した位置でセットできます(チャンバー内のノズル先端位置は変わりません)
つまり、ノズルは、立ち上がりが0.2mm長い分だけ、後退した位置でセットされる。そのため、チャンバー内の先端位置は、従来と同じだ。
シリコンOリング摩耗への対策
これによりピストンヘッド内の「シリコンOリングに刺さる」動作に対して、今までよりもしっかりと刺さりますので、トレポン運用にで稀に起こる”シリコンOリング摩耗による給弾不良”(ノズルを早く離してしまう)を回避できます。
ノズル先端は、HEX(六角レンチ)を差し込める様になっていますので、メンテンナスや交換が楽に行えます。
そのため、給弾不良の原因になりやすい部分を、設計で抑えている。また、HEXで着脱できるので、作業が手早く済む。
上の写真は、シリンダー管の端だ。ピン用の穴が見える。このピンが、内部パーツの最終固定になる。
2ピース構造とメンテナンス性
WIDEBOREシリンダーは、「シリンダー管」と「ピストンレールが付帯した内部パーツ」の2ピース構造となっていて出荷時には接着をしています。画像の通り専用の上部からピンで止めて最終の固定をしていますが、ピンにM2のネジ穴が空いており、長めのネジを使い引きピンを抜く事ができます(要:温め)
これは、メンテナンス性とアフターサポートを考えた上での対策となります。頻繁にトレポンユーザーご自身で初速調整やメンテナンスでシリンダーを分解する場合、後方のシリンダーエンドを何度も取り外ししている内にネジ山が甘くなって、しっかり締め込む事ができなくなるという問題がありました。その場合、殆どのトレポンユーザーは、シリンダーの買い直しが発生していましたが、「この部分」を個別に分解~新しいパーツへ差し替えできる様にした事で、無駄な費用を掛けずトレポンシリンダーの運用を続ける事ができます。
つまり、傷んだ部分だけを交換すればよい。そのため、シリンダーを丸ごと買い直す必要が、少なくなる。
上の写真は、左がORGA WIDEBORE、右がSYSTEMA製のシリンダーだ。そのため、ピストンヘッドの大きさの違いを、見比べられる。
ピストンヘッドの専用設計
ORGA WIDEBOREシリンダー トレポン用に利用しているピストンヘッドも専用設計となります(ピストンとシリコンOリング、ピストンヘッドOリングは他社流用可能)。
内径が広いシリンダー管の為、ピストンヘッドの外径も大きく設計しております。画像の通り、左がORGA WIDRBORE、右がSYSTEMA製のシリンダーですが、SYSTEMAの方にはWIDEBORE用のピストンヘッドが入りません。
※SYSTEMA製のシリンダーの中には生産時の公差でプラス公差の物については、かなりキツイですが入る物もありました。
ピストンヘッドと削り片の関係
ピストンヘッド外径は、極限までシリンダー内径とのクリアランスを詰めていて、ピストンレール位置出しもキッチリしておりますので、駆動時にピストンを完全水平後方運動させることができます。
そのため、ピストンは、シリンダー内を水平に後退する。また、ピストンレールの位置も、正確に出している。
社外のトレポンシリンダーを利用した際に「赤い削り片」や「黒い削り片」が出るよね!と耳にする事がありますが、これは、ピストンヘッドと管壁のクリアランスが有りすぎる事により、ピストンが水平後退出来ていない事でピストンがピストンレールのエッジで削れてしまっている為です。
「削れる」事自体は問題にはなりませんが、「削り片」が何処かに挟まってしまうと、適正なパフォーマンスが出なくなってしまいますので、見逃せない部分として設計を調整しました。
ピストンヘッドに関するよくある質問(Q&A)
Q. ピストンヘッドとは何ですか?
ピストンの先端に付く部品だ。また、WIDEBOREでは、内径の広い管に合わせて、外径も大きく設計している。
Q. 他社のパーツを流用できますか?
ピストンとシリコンOリング、ピストンヘッドOリングは、他社品を流用できる。ただし、ピストンヘッド本体は専用だ。
Q. パーツは何の素材ですか?
耐久性が必要な部分は、ステンレス材だ。また、加工は日本国内で行っている。
Q. ノズルは何が違いますか?
立ち上がりが、従来より0.2mm長い。そのため、他社のノズルより0.2mm後退した位置でセットできる。
Q. 給弾不良はどう防ぐのですか?
ノズルがシリコンOリングへしっかり刺さるようにしている。そのため、Oリングの摩耗による不良を避けられる。
Q. 2ピース構造とは何ですか?
シリンダー管と、ピストンレール付きの内部パーツに分かれた構造だ。また、出荷時は接着し、ピンで最終固定している。
Q. 固定ピンは外せますか?
外せる。ピンにM2のネジ穴があるため、長めのネジで引き抜ける。ただし、温めが必要だ。
Q. SYSTEMA製のシリンダーに入りますか?
基本的には入らない。ただし、プラス公差の個体には、かなりキツいが入る物もあった。





